膀胱腟瘻について
Vesicovaginal fistula

膀胱腟瘻(ぼうこうちつろう)とは

膀胱と腟のあいだに瘻孔(ろうこう:通り道)ができてしまい、自分の意思とは関係なく尿が腟から漏れてしまう病気です。
原因として、分娩、婦人科・泌尿器科の手術、骨盤内の治療などのあとに起こる可能性があります

膀胱腟瘻の図

膀胱腟瘻は非常にまれであるために、適切な診療方法についてあまり周知されていません。
一方で、適切な手術が行われないと再発を起こすこともあります。そして2度目、3度目となるごとに手術は難しくなっていきます。
そのため、膀胱腟瘻が疑わしい場合や診断がついた場合には、当センターのように膀胱腟瘻の診療を多く行っている専門施設へ早期から受診することが勧められています。
「尿が常に漏れる」、「腟から尿が出ている感じがする」などの症状がある場合は、まずは分娩や手術を受けた施設の担当医師やかかりつけ医にご相談ください。
当センターでは、いただいた紹介状に書かれた診療情報をもとに必要な検査を行い、十分な説明の上で手術治療を行います。
そして手術後のフォローまで安心して受けていただけるよう心がけています。
もし当センターの早めの外来予約がいっぱいで取れなかった場合には、お手数ですがご担当医師から直接当センターへご連絡いただくようお願いします。
可能な限り早めの予約を確保できるよう手配いたします。

経腟的(けいちつてき)膀胱腟瘻修復術とは

当センターでは、膀胱腟瘻に対する基本手術として、経腟的な修復術を行っています。
これは、お腹を切らずに腟からアプローチして、できてしまった通り道をふさぐ手術です。

腟からの手術は、お腹からの手術に比べて

  • ・体への負担が比較的少なく、術後の回復が早い

  • ・おなかに傷が残らない

  • ・おなかの中に腸の癒着があっても安全に行える

  • ・膀胱の切開や膀胱周りの剥離を最低限におさえられる

などの利点があります。

一方で、瘻孔の部位や状況によっては、経腟的な修復術を行えない場合もまれにあります。
手術前にしっかりと検査を行ったうえで方針について詳しくご説明します。

手術の際には、

  1. まず全身麻酔を行います。
  2. 内診台のように足を開いた体位を取り、腟の中にある瘻孔の場所をよく確認します。
  3. 瘻孔の周囲を丁寧に剥離します。
  4. 膀胱と腟の壁を丁寧に縫合して閉じます。

きずの治りを良くするために、硬くなった部分を少し切り取ることや、血流の良い脂肪組織(皮弁)を利用することがあります。

瘻孔の図

手術翌日には歩行と食事を開始します。膀胱を安静に保つために、尿の管(カテーテル)を約2週間留置します。
その後、膀胱造影検査を行って、ふさいだ部分からの漏れがなければカテーテルを抜いたまま生活していただきます。
個々の患者さんのご体調やご事情によって入院期間は変わりますが、おおむね約1週間です。
尿の管を入れたまま退院する場合には、退院前に自宅での管の管理法を詳しくお教えします。